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自律型チームのつくり方 ~変化の時代に適応するマネジメントとは~ #01

自律型チームのつくり方 ~変化の時代に適応するマネジメントとは~

#01難しさが高まる組織・チームのマネジメント

激変する環境、テレワーク推進によるコミュニケーションの希薄化、価値観の多様化など、チームマネジメントの難しさが高まり続けています。変化に適応し、メンバーが自ら考えて動くチームになるには何が必要なのか?

「自律型チーム」をつくるためのカギとなる考え方、日々の仕事の中で実践できる手法を全6回シリーズでお伝えします。

 

1.難しさが高まる組織・チームのマネジメント(本記事)

2.自律型チームに求められるマネジメントスタイル

3.なぜ、主体的なアクションは生まれないのか?

4.自律型チームに欠かせないものとは何か

5.文脈の共有のカギとなるもの

6.日常業務のミーティング改革を可能にするSOUNDメソッド

 

 

難しさが高まる組織・チームのマネジメント

「指示待ちメンバーの自律性や主体性を高めたい」

「バラバラとなっているチームの方向性を一致させ、一体感を醸成したい」

「組織やチームで起きていることへの当事者意識を高めたい」

 

このようなチームマネジメントに関する声は、以前からよく耳にするセリフでした。しかし、その意味するところが変わってきています。

「これまでは何とか機能していたチームが全く機能しなくなってきた」

「うまくいっているチームとそうでないチームの差が大きく開いてきた」・・・など、問題の“切実さ”が次第に高まっています。

 

これは、以前と比較してチームマネジメントが格段に難しくなっていることを表しています。これまでのマネジメントスタイルが通用しなくなってきている、とも言えるでしょう。マネジメントの難しさを加速している要因は何なのでしょうか?そこには、大きく3つの理由があると思われます。

 

マネジメントを難しくする3つの要因

一つ目は、変化の激しさです。コロナ禍を始めとする大きな変化が次々に発生することで、現場は翻弄されます。

 

「前例がない事態」「先が見えない状況」「緊急対応に追われる」・・・このようなとき、チームには何が起きるでしょうか?先が見えず正解がない状況では「こうすればうまくいく」という“見通し”がつきにくく、努力したからといって成果が出るとも限らない。このような見通しの悪さや徒労感が積み重なると、「本当にこの方針でいいのか?」という疑問が湧き、チームとしての方向性や方針に対する意見の相違が生まれやすくなります。

 

加えて、仕事ができる人にますます仕事が集中するということが発生します。逆に自分で考えて動けない人は、どんどん「指示待ち」に陥ります。このような事態が長く続くと“不公平感”や“犠牲者感”が生まれ、チームとしての一体感は損なわれます。このように変化の激しさは、チームにさまざまな影響を与えます。

 

 

二つ目は、テレワークの浸透です。テレワーク・リモートワークは、独立性の高い業務かつ自律性の高いメンバーであれば生産性は高まりますが、自律性・主体性が低いメンバーの生産性は大きく下がります。「気がついたら何も進んでいなかった」「いちいち細かく指示やチェックが必要」「緊張感がなくなって、モチベーションが下がっている」などの声もよく聞きます。

 

そして、チームメンバーがお互いに目が届き、声を掛け合える環境では機能していた協働関係や相互支援は大きく低下します。以前なら他メンバーが困っているという状況が嫌でも目に入ってきたため、「なんとかしてあげよう」という気持ちも生まれやすかったのが、まったく目に入らなくなると、気にもならなくなってしまうものです。これは知らず知らずのうちにチームに対する当事者意識が下がってきているという状況です。

 

三つめは、価値観の多様化です。チームを革新しイノベーションを起こしていくうえで多様性は大切です。しかし、多様性を受容し、活かしていくチーム力がないと、分かり合えない状態を生むだけです。仕事に対する価値観のギャップ、業務クオリティや顧客対応における“当たり前レベル”の相違など、「言っても伝わらない感覚」が増している、というのが現場感のようです。昔ながらの強制的なマネジメントスタイルは機能しなくなってきているため、チームとして統一した考え方を浸透させていくことの難しさは増しています。

 

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求められるマネジメントのパラダイム転換

マネジメントを難しくする「変化の激しさ」「テレワークの浸透」「価値観の多様化」。これらの要因が“掛け算”になることでさらに難しさが加速しています。これまでは「阿吽の呼吸」や「誰かの頑張り」でなんとか持ちこたえていただけであって、気がついたら機能しなくなっていた、というチームも散見されます。

 

このようにチームマネジメントは構造的に難しくなっています。この課題に対して、「〇〇さんは、マネジメント力がある」「××さんはマネジャーに向いていない」など、管理職個人の能力や資質の問題として捉えていては、課題解決には至りません。もちろん、自然と対応できているマネジャーも存在することでしょう。しかし、多くのマネジャーにとっては、マネジメントというものをパラダイム(ものの見方)から変えていくことが必要になります。

 

そのパラダイム転換とは、これまでの管理型のマネジメントスタイルから脱却し、メンバーの主体性を引き出す「自律型チーム」をつくっていくことです。変化の激しい時代においては、メンバー一人ひとりが自分で考えて動くことができない限り、いつまでもチームとして機能しないでしょう。しかし、メンバーの主体性や自律性を引き出していくのは「言うは易く行うは難し」です。

 

では、「自律型チーム」をつくっていくには何が必要なのでしょうか?次回のコラムでは、これまでのマネジメントスタイルと「自律型チーム」に求められるマネジメントスタイルの違いと、その違いを生むために必要な「あるアクション」について考えていきます。

 

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執筆者

株式会社ミライバ ディレクター 岩崎 真也

明治大学政治経済学部卒業。大手アパレル小売業を経て、1997年テンプスタッフ株式会社に入社。社内ベンチャー制度による新規事業責任者等を歴任。2007年テンプスタッフラーニング株式会社 代表取締役社長に就任。様々な分野の専門家とのCo-Creationにより「組織開発」「メンタリング」「アルバイト・パート採用育成」などの分野で今までにない新しい人材開発プログラムを開発するとともに、講師としても多くの企業で研修を実施。

2017年、同社とパーソル総合研究所の統合に伴い、取締役執行役員ラーニング事業本部長に就任。2018年、新規事業の立ち上げ、子会社の経営・マネジメント、会社合併・統合の推進など、これまでの様々な経験を活かし、組織開発領域のコンサルタントとして独立。

2019年株式会社ミライバに参画。「学習する組織」「U理論」「成人発達理論」などの考え方をベースに、新しい時代に求められる組織の在り方を探求し、組織づくりを支援している。