株式会社ミライバオフィシャルサイト

CONTACT US

自律型チームのつくり方 ~変化の時代に適応するマネジメントとは~ #04

自律型チームのつくり方 ~変化の時代に適応するマネジメントとは~

#04 自律型チームに欠かせないものとは何か

激変する環境、テレワーク推進によるコミュニケーションの希薄化、価値観の多様化など、チームマネジメントの難しさが高まり続けています。変化に適応し、メンバーが自ら考えて動くチームになるには何が必要なのか?

「自律型チーム」をつくるためのカギとなる考え方、日々の仕事の中で実践できる手法を全6回シリーズでお伝えします。

 

1.難しさが高まる組織・チームのマネジメント

2.自律型チームに求められるマネジメントスタイル

3.なぜ、主体的なアクションは生まれないのか?

4.自律型チームに欠かせないものとは何か(本記事)

5.文脈の共有のカギとなるもの

6.日常業務のミーティング改革を可能にするSOUNDメソッド

 

 

4.自律型チームに欠かせないものとは何か

前回のコラムでは、メンバーの主体性な行動を引き出すためには、「心理的安全性」に加え、「当事者意識」と「文脈の共有度」を同時に高めていくことが必要だということをお伝えしました。

その中でも見落とされがちなのが、「文脈の共有度」です。

今回のコラムでは、この「文脈の共有度」にフォーカスを当て、「文脈」とは何か?何が共有されている必要があるのか?などについて、もう少し解像度を上げて見ていきたいと思います。

 

自律型チームでは、○○が共有されている?

まずは、『メンバーひとり一人が自律的に動き、チームとして機能しているようなチームの状態』を想像してみてください。そんなチームでは、○○が共有されています。

 

この○○に入る言葉は何でしょうか?ちょっと考えてみてください。

 

 

 

真っ先に思い浮かぶものは「ビジョン」「ミッション」「理念」や、仕事の「目的」「意義」あるいは、チームで大切にしている「価値観」などでしょうか。様々なものがありますが、いずれにせよ、このような「軸になるもの」が共有されていることが最も大切です。「軸」があるからこそ、一人ひとりが自分で判断することが可能になります。

 

ただ、「軸になるもの」だけではちょっと不十分かもしれません。もう少し具体的でリアルな「達成状態」や「期待されている成果」なども握っておかないと、出来上がったアウトプットのイメージがずれてしまうことが起こります。特にリモートワークなどで、途中経過が見えにくくなる環境では、このような「具体的なゴールイメージ」を共有することも大切になってきます。

 

 

 

「お互いのこと」を知らないとチームとして機能しない

一人一人が単独で行動するには、上記の二つで十分かもしれません。しかし、チームとして機能するには、何かが足りないようです。それは、「チームメンバー各自の状況」を共有していることです。それぞれの業務内容、繁忙状況やキャパシティ、強み・弱みなどの能力などを共有しておくことで、「これはやっておくよ」「こっちはお願いします」「ちょっと助けて!」というふうにお互いにカバーし合えるようになります。また、それぞれの仕事への価値観、大切にしていること、キャラクターなども知っていると、より気持ちよく協業することが可能になります。

 

このような「お互いの状況」は、同じ空間で仕事をすることで自然と共有されていた面もあったでしょう。しかし、リモートワークが進むことで、お互いのことが見えなくなってしまったチームも多いのではないでしょうか。また、以前であればチーム内での「懇親会」や「飲み会」などによってお互いを知る機会もあったと思いますが、これも大幅に少なくなっています。意図的に「お互いを知る」機会を作っていかないと、チームのバラバラ感は一気に加速してしまいます。

 

しかも、一度共有したら終わりではありません。刻一刻と変化する「お互いの状況」を見える化し、共有し続けていく工夫が必要です。

 

関連セミナーはこちら!

 

 

「変化の激しい時代」だからこそ共有すべきこととは?

そして、変化の激しい時代だからこそ求められるものがあります。それは、世の中の動き、業界・顧客・自社の動向などの「様々な変化の兆候」を共有していくことです。「今、何が起きているのか?」ということに現場の一人一人がアンテナを高く持ってキャッチし、それをリアルタイムにチーム内で共有していくことが求められます。変化の激しい時代には、リーダーだけが考えるのではなく、全員が変化を感じる力をつけていくことが大切です。

 

さらに重要になってくるのが、「チームとして前進しているという実感」を共有していくことです。変化が激しく先が見えない状況で、前例のないことに取り組んでいるときは、なかなか成果が出にくかったり、うまくいかなかったりするものです。そんな状況では、「この方向でいいのだろうか?」「こんなことをやって意味があるのだろうか?」というような気持ちが湧き上がってきやすくなります。これをそのままにしていると、チームがバラバラになっていきます。そんな時ほど、ものごとのポジティブな面も認識できるような意味づけや、失敗から学んでいく姿勢が重要になってきます。「予定していた○○はうまくできなかったけど、××のことが分かったね」などという視点を共有していくことです。また、目に見える成果が上がりにくいときほど、お互いに感謝を伝え合ったり、頑張りを承認し合ったりすることを意識的に取り組んでいくことが大切になってきます。

 

 

このように、自律的なチームになっていくには、実に多くのことを「共有」していくことが求められるわけです。これらのことが、当たり前の「文脈」として形成されていくと、一人一人が自律的に動けて、かつチームとして一体感を持って進めるわけです。しかし、忙しくて時間も限られている中で、どうやって共有していけば良いのでしょうか?

次回のコラムでは、文脈を共有するためのカギについて、考えていきたいと思います。

 

関連セミナーはこちら!
メンバーが自律的に動き出すミーティングの進め方

~チームの課題解決を図りながら心理的安全性を高めるメソッドとは

 


執筆者

株式会社ミライバ ディレクター 岩崎 真也

明治大学政治経済学部卒業。大手アパレル小売業を経て、1997年テンプスタッフ株式会社に入社。社内ベンチャー制度による新規事業責任者等を歴任。2007年テンプスタッフラーニング株式会社 代表取締役社長に就任。様々な分野の専門家とのCo-Creationにより「組織開発」「メンタリング」「アルバイト・パート採用育成」などの分野で今までにない新しい人材開発プログラムを開発するとともに、講師としても多くの企業で研修を実施。

2017年、同社とパーソル総合研究所の統合に伴い、取締役執行役員ラーニング事業本部長に就任。2018年、新規事業の立ち上げ、子会社の経営・マネジメント、会社合併・統合の推進など、これまでの様々な経験を活かし、組織開発領域のコンサルタントとして独立。

2019年株式会社ミライバに参画。「学習する組織」「U理論」「成人発達理論」などの考え方をベースに、新しい時代に求められる組織の在り方を探求し、組織づくりを支援している。