株式会社ミライバオフィシャルサイト

CONTACT US

自律型チームのつくり方 ~変化の時代に適応するマネジメントとは~ #05

自律型チームのつくり方 ~変化の時代に適応するマネジメントとは~

#05 “文脈共有”のカギとなるもの

 

激変する環境、テレワーク推進によるコミュニケーションの希薄化、価値観の多様化など、チームマネジメントの難しさが高まり続けています。変化に適応し、メンバーが自ら考えて動くチームになるには何が必要なのか?

「自律型チーム」をつくるためのカギとなる考え方、日々の仕事の中で実践できる手法を全6回シリーズでお伝えします。

 

1.難しさが高まる組織・チームのマネジメント

2.自律型チームに求められるマネジメントスタイル

3.なぜ、主体的なアクションは生まれないのか?

4.自律型チームに欠かせないものとは何か

5.文脈の共有のカギとなるもの(本記事)

6.日常業務のミーティング改革を可能にするSOUNDメソッド

 

 

5.“文脈共有”のカギとなるもの

前回のコラムでは、自律型チームで共有されている文脈とは一体何か?についてお伝えしました。

メンバーが自律的に動き、チームとして機能するには、ビジョン・理念や仕事の目的などの「軸となること」はもちろんのこと、「チームメンバー各自の状況」や「様々な変化の兆候」など、実に多くのことを共有することが求められるとお伝えしました。

今回のコラムでは、チームのなかで、そのように「文脈が共有されていくためのカギ」について考えていきたいと思います。

 

「共有くらいしてますけど・・・」ってホントですか?

管理職やリーダーの皆様に「共有することが大切です」というお話しをさせていただくと、「まあ、共有くらいはできてますけど・・・」という反応が返ってくることがあります。

でも、どんな風に共有しているのか、よくよくお話しを聞いてみると・・・

 

「会社からの方針や伝達は、ちゃんと“落としてます”」とか、

「そのくらいは“伝わっている”と思うんですよね」とか、

「毎年、方針発表のキックオフがありますので」というようなお答えが返ってきます。

 

これは、“共有できている”と言えるのでしょうか?

 

 

 

「上から落とす」ではなく「共に聴き合う」ことが大切

「ちゃんと落としてます」という言葉から見えてくるのは、「(共有とは)上から下に落とし込むものである」という前提や習慣です。なかには上司からのメールをそのまま転送するだけ・・・なんてことも。

 

しかし、共有するうえで大切なのは「お互いに聴き合うこと」です。たとえ上からの方針であっても、それを自分の言葉で伝えるとともに、メンバーの受け止め方を聴き、ともに意味づけしていくことが重要です。

 

また、変化の激しい時代においては、刻々と変化する現場の生の情報がリアルタイムで共有されることの必要性も高まっているはずです。当然ながら「年に1回の方針発表」だけでは足りないことでしょう。

 

では、どのような取り組みが求められるのでしょうか?

 

文脈の共有は何によって可能となるのか?

このような状況を打破し、職場内のコミュニケーションをより良くするために、様々なことに取り組んでいる方もいらっしゃると思います。

 

よくお聞きするのは「意識的に“雑談”するようにしようと思います」というお声です。リモートワークの浸透に加え、飲み会などの機会も大幅に減ったことで、仕事に関係の無い“雑談”をする機会は極端に減ってしまいました。これを補うため、例えば社内SNSなどのコミュニケーションツールを使って意識的に雑談しようとチャレンジしているところもあります。もちろん、雑談をすることは、大切なことを話す土台としての関係性を育むためにとても有効な取り組みではありますが、単なる「おしゃべり」で終わってしまうと効果は限定的です。

 

また、最近多くの企業で取り組まれているのが「1on1」です。「1on1」は、上司と部下のコミュニケーション量が増えるだけではなく、対話を通じて「経験から振り返り、学習・成長する」ことが促進される効果もある極めて有効な施策です。その一方で、「1on1」だけに頼っては、上司の時間的負担が大きくなってしまうこと、上司だけに情報が偏ってしまいチーム内の「横の連携」が、かえって促進されなくなることも懸念されます。

 

そして、様々なワークショップやオフサイトミーティングなどの対話の場をつくることも効果的な取り組みです。相互理解が深まることで「関係の質」を一気に高めることができるとともに、様々なコミュニケーションのスキルを磨くことも可能です。しかしながら、日常業務へのブリッジやフォローアップがしっかり組み込まれないと、すぐに「元どおり」の職場になってしまいます。

 

このように、様々な取り組みには効果的な面もありつつ、“それだけ”では限界もあるわけです。

 

関連動画視聴はこちら!

 

 

「日常業務におけるチームでのミーティング」が鍵となる

では、最も重要となることは何でしょうか?

 

それは、普段の仕事におけるミーティング、あるいは定例会議など「日常業務におけるチームでのミーティング」を有効活用していくことです。

 

日常業務のミーティングや会議のなかで、その仕事の目的・ゴール、大切にしたい価値観、メンバーのお互いの状況などを丁寧に共有していくことでチームの文脈が生まれていきます。そして、お互いの状況や背景、仕事への思いを話し合うこと・聴き合うことで、チームや仕事への当事者意識・コミットメントが生まれていきます。チームの心理的安全性も自然と高まっていきます。心理的安全性だけを高めようと「何か特別なこと」をするよりも、目の前の仕事への様々な思いを話し合うほうがよっぽど効果的かつ生産的です。

 

 

このように、自律型チームをつくるカギは、日常業務のミーティングのデザイン(流れ)とファシリテーション(進め方)にあると言えます。

 

しかし、私たちの多くが「ミーティング下手」であるのが実情です。多くの会議が、一方通行の情報伝達や指示で終わってしまいがちです。また、会議やミーティングにあまり多くの時間を掛けるわけにもいきません。

 

では、どのように進めれば良いのでしょうか?

 

最終回である次回のコラムでは、自律型チームをつくるためのミーティングを構造化した具体的な方法「SOUNDメソッド®」をご紹介します。

 

関連動画視聴はこちら!

 


執筆者

株式会社ミライバ ディレクター 岩崎 真也

明治大学政治経済学部卒業。大手アパレル小売業を経て、1997年テンプスタッフ株式会社に入社。社内ベンチャー制度による新規事業責任者等を歴任。2007年テンプスタッフラーニング株式会社 代表取締役社長に就任。様々な分野の専門家とのCo-Creationにより「組織開発」「メンタリング」「アルバイト・パート採用育成」などの分野で今までにない新しい人材開発プログラムを開発するとともに、講師としても多くの企業で研修を実施。

2017年、同社とパーソル総合研究所の統合に伴い、取締役執行役員ラーニング事業本部長に就任。2018年、新規事業の立ち上げ、子会社の経営・マネジメント、会社合併・統合の推進など、これまでの様々な経験を活かし、組織開発領域のコンサルタントとして独立。

2019年株式会社ミライバに参画。「学習する組織」「U理論」「成人発達理論」などの考え方をベースに、新しい時代に求められる組織の在り方を探求し、組織づくりを支援している。